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take a breather

第20章 I seek

楽屋のドアが開くと翔くんが驚きの顔で足を止めた

デジャブ?先週と全く同じ表情だ

「大野さん?今日も早いんだ」

「ん、今日も道が空いててさ」

そう言うと翔くんは笑いながら

「信号もつかまらなかったって?」

「んふっ、そう」

「なら、今日もラッキーな日かな?」

「ん〜、どうだろ」

ラッキーな日になるかどうかは翔くん次第なんだけど…

「なに?なんかあった?」

ちょっと言葉を濁しただけで俺の様子を伺うように見る翔くん
やっぱ気遣い屋さんだよなぁ…

「あのさ翔くん…今日、仕事のあと、何か予定ある?」

「今日?今日は何もないよ?なんで?」

「ならさ、ちょっと飲みに行かない?」

「なにか相談ごと?」

「いや、完全プライベート」

「えっ⁈プライベート⁈智くんとっ⁈」

目を見開く翔くん
しかも久しぶりの『智くん』呼び
そんな驚くこと?
あまりの驚きぶりに、こちらも驚いた

「ダメ?俺とは飲みに行きたくない?」

「ううんっ、ダメじゃない!
大野さんから誘われると思ってなかったから
ちょっと驚いただけ…」

首を横にふるふると振りながら答えてくれた
『ちょっと』じゃなく、だいぶ驚いたって感じだったけど
断られなくてホッと一安心

「なら、良かった…
店、予約してあるんだけど
そこでいいかな?」

「へっ?もう?」

更に驚きの表情をする

「うん。俺のよく行く店なんだ」

「そ、うなんだ…
なんか、凄いラッキーな日かも…」

「え?」

「あっ、ううんっ…なんでもない」

はにかみながら首を振る翔くん
メッチャ可愛い

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