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友達のままがいい

第6章 未来


「ッハックシュン」

どうしていいのか分からずお互いに黙っていると、則ちゃんが大きくくしゃみをした。
外気に晒されている廊下は、深夜ということもあって底冷えがするほど寒かった。

「…そこ…寒いから、入ったら??」

そう言葉にしても則ちゃんが動く事はなかった。

「ねぇ、風邪ひいちゃうよ。…とりあえず入ろう?」

則ちゃんの洋服を引っ張って伝えると、顔をあげて私をジッと見つめてきた。
その視線を真正面から受け止める勇気もなく、視線を外した。

「コタツに入って待ってるから…則ちゃんも、おいでよ」

それだけが精一杯だった。
則ちゃんに言ったようにコタツに入って則ちゃんの来るのを待った。
だけど、則ちゃんは中々入ってこない。
まさか、そのまま帰ったんじゃないかと不安に思い始めた頃、カチャリとドアが開いて則ちゃんが姿を現した。

「よかった…」

そんな小さな言葉が私の口から零れ落ちた。

「こたつ…暖かいよ。」

部屋の中に入ってこようとしない則ちゃんの為に、こたつ布団を上げて誘った。

「なぁ…分かってて誘ってんの??それとも…」

困ったよな、呆れたように吐き捨てる。

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