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友達のままがいい

第2章 現在

重なり合った唇は、そこには確かに相手がいるのだとお互いの体温を伝える。
それを感じ取った彼はゆっくりと舌で唇をなぞり開きかけた隙間から舌を滑り込ませる。
私の舌を探し当てるのに時間はかからず、舌が絡み合いとろけそうになる。
だけど頭の隅でこのまま流されては駄目だと警告が鳴り響く。



このまま先に進んでしまったら、あの時の様に友達でもいられなくなると…




あの時に誓った思いを、あの時に味わった苦しみをもう一度味わうのかと…




分かっていてもどうすることもできなかった。

則ちゃんの唇の温もりが

頭を押さえつける彼の腕の強さが

私の判断を鈍らせる

このまま則ちゃんにおぼれたいと…

そして、彼の言葉が脳裏をかすめた。


―――――…切られるのは文香のほうだよ…

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