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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生


「文香って篠宮くんと仲がいいよね。つきあってたりする?」

いきなりのことで驚いて目を丸くして慌てて否定する。

「付き合ってないよ!!」

「え~そうなの?いっつも一緒にいるじゃない!」

「いつも一緒だけどふたりじゃないよ。他にもいるよ」

「そうなんだけどさぁ~…文香が一番仲がよさそうに見えるよ」

いつも男女8人で遊んでいるのに私と則孝くんだけがそういう風に見えると初めて知った。
そう言われて嫌な気はしない。
逆にうれしいとさえ思えた。

「つきあっちゃえば??」

「ええええええ????」

驚いて変な声を出す私にみんな大笑いする。

「何?その声。でもそれいいね。彼氏彼女かぁ~良い響きぃ!!」

勝手に盛り上がるクラスメイトに苦笑いしかできなかった。
みんなが言うとおり則孝くんは優しい。
お父さんを亡くし辛い思いをしたのに、いつも笑顔で笑っている。
一緒にいると楽しくて、自然と目が彼を追ってしまう。
だからと言ってつきあいたいとかそんな感情はでてこない。
もちろん、他の子たちと同じでその先を望まないし、望むことを知らない。
だってその時はまだ小学4年生。
恋に恋して、そんな恋愛話だけで満足できるお年頃だった。

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