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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生

お弁当を食べ終え、気持ち良い風にウトウト眠りに落ちそうになった時に声が聞こえてきた。
その声に耳を澄ませれば徐々に誰の声か分かってくる。

「ねぇ…ここ学校だって…誰かに見られたら…」

「誰もこないって。入学したてのころ、毎日来ていたけど誰もこなかったから大丈夫だよ」

隠れる理由はないけど、木の陰に隠れてそっと二人の声が聞こえてきた方を覗き見ると則ちゃんの背中が見えた。
その後ろに彼女がいるのは分かるけど、則ちゃんの体で見えなかった。
重なる身体にヒソヒソ話でもしているのだろうかと、何も知らない私はそう思ったけど…違った。
彼女の両手が則ちゃんの背中に回り、少し角度が変わると二人がキスをしているのが見える。
最初は唇を重ねるだけの軽いキス。
唇を離し見つけあい、照れ笑いをする則ちゃんは彼女の頬を撫でて、また唇を重ね合わせた。
見てはいけないものを見ていると分かっていても動けない。
目を逸らすことができずに私の心はドキドキと早打ち、知らず知らずのうちに握りしめている手に力が篭る。

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