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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生

校内で二人一緒の姿をみかけることはなかったから噂は噂でしかないのかもしれないと思っていた。
だけど、3年になった頃から廊下で則ちゃんと彼女を見かけるようになり、お昼休みはお弁当を持って食べに来るから楽しそうな二人を見せつけられる。
手を伸ばせば触れられるのに、彼の視界に私はいない。
あんなに仲が良かった私たちも今ではただの同級生。
同じ小学校の卒業生。
今は友達でさえない…
そう思うと無性に寂しくなり、ふたりがいる空間にいるのが苦痛になった私はお弁当を持って教室から逃げだした。
逃げ出した場所は、あの楽しかった校舎裏。
今は誰も来ることはないけど、私にとっては未だに特別な場所だった。
そんな場所でひとりでお弁当を食べる日が続いた。
夏が過ぎ、秋にさしかかろうとしていた頃に見てはいけないものを見てしまう。
見たくはなかったのに…私は見てしまった。

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