友達のままがいい
第2章 現在
「今日もいいお天気!」
ベランダ越しに背伸びをし、すがすがしい朝の太陽を身体いっぱいに浴びながら一日の始まりを実感した。
いつもはギリギリにならないと起きない私も、今日はいつもより早く目が覚た。
その理由は、久しぶりに大好きな彼に会えるから。
幼かった頃、遠足の朝に興奮して早く目が覚めるのと同じで、それだけ彼に会えるのを楽しみにしていた。
「今日一日頑張れば彼に会える!よしっ!頑張ろう」
自分に気合を入れ出かける準備をする。
いつもより入念に化粧をして、とびっきり可愛い服装。
いつまでたっても彼には可愛いと思われたい。
「私って乙女じゃない??」
なんて、鏡の前で可愛く微笑んでみる。
……
その自分の笑顔を見ながら虚しくなる。
どんなに可愛いと思われても、私と彼はただの友達で恋人同士ではない。
それ以上でもそれ以下でもない…ただの友達。
それでもいいとずっと思っていた。
それが彼の傍にずっと居られる方法だと私は疑わなかった。
だけどそれは幻想だと…この年になってやっと理解できた。
「理解できてもねぇ…今更…」
そう…今更どうしたらいいの分からない。
分からなくても彼に会えることは喜び以外のなにものでもない。
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