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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生

小学生の時と同じように8名で通学路を歩く道のりに、また8名で歩けてよかったと思う。
勇気を出して則ちゃんに会いに行ってよかった、みんなに電話してよかったと心底思った。
途中で私立組のふたりと別れて私たちは学校に向かった。
はじめは楽しそうに笑顔で話していた則ちゃんの表情は次第に曇っていく。
きっと学校のみんなの反応が気になって怖いんだろう。
私だったら足がすくみ逃げ出していたかもしれない。
だけど則ちゃんは勇気をもって歩んでいるから、その力に私はなりたい。
何もできないかもしれないけれど、私は則ちゃんの背中を軽く撫でてあげる。
怪我をしたときは手当てをする。
その語源は手を当てて治すと聞いたことがある。
だから私の手から力を感じ取ってほしいと思って則ちゃんの背中に手を当てた。
すると、則ちゃんは私を見下ろしフッと笑う。
それを何度か繰り返しながら学校に向かった。
学校に近づき、則ちゃんは自然と私の横に並び歩き始めた。
そして耳元に顔を近づけて小さな声で囁く。

「味方で…いてくれてありがとう」

その言葉を聞いて嬉しくなる。
だから、飛び切りの笑顔で返事を返した。

「うん。いつでも私は則ちゃんの味方だよ。」

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