
友達のままがいい
第3章 (過去)中学生
「早く歩けよ」
則ちゃんはクスッと笑って、次の瞬間、私の手を引き則ちゃんの横に並ばされた。
そして繋がれた手はほどけることはなかった。
ずっと繋がれたままの手は暖かくて、心まで温かくなる。
何も言わない則ちゃんと手をつないだまま歩き、いつしかお互いに力を込めて握っていた。
それは離したくないという意思表示なのか…それは分からない。
だけど、この手を放したくはないと私は思っていた。
これから先も、ずっと則ちゃんと手を繋いで歩きたい。
則ちゃんの横には私がいて、ずっと則ちゃんの味方で居続けたいと願っていた。
「文香…高校でもまたよろしくな?」
前を向いて歩いている則ちゃんは、前を向き続けたまま告げた。
――――― 高校でもよろしくな…
その言葉だけでも私の心は華やいだ。
則ちゃんとはこれっきりではない。
これからも則ちゃんと一緒に歩いて行ける。
「うん。こちらこそ…また3年間よろしくね」
そうお互いに告げて、則ちゃんと一緒に過ごす未来を楽しみにしていた。
