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友達のままがいい

第3章 (過去)中学生

そう言って則ちゃんが出してくれたのはミサンガだった。
こんな時だからこそ肌身離さず持っているのもみんな同じ。
みんながそれぞれのミサンガを手に乗せた。
私立組みが居なくて6本だけど、私たちの目には8本に見える。
やっと集まった8本のミサンガは親友の証。

「また、近いうちにミサンガ持って集まろうね。」

「だな。高校生になって忙しいかもしれないけど、時間を作って集まろう!」

「うん。その時は私立組も誘って遊ぼうね」

それぞれが思っていることを口にする。
口にすると、これで本当にお別れだと思い口数が少なくなる。
そしてひとりひとりと減っていき、最後は則ちゃんとふたりっきりになった。
お互いに何も話さず、ゆっくりと歩くのはこの時間を一秒でも長く続けたいから。
則ちゃんもそう思ってくれていることを願いながら、則ちゃんの後ろをゆっくりと歩いていた。
時たま振り向いてくれるのは幼かったころからの癖。
歩くのが遅くて、いつもみんなより一歩後ろにいる私がついてきているのか確認してくれていた。
それは今も変わらず、何回も振り向いてくれる。

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