
友達のままがいい
第5章 (過去)社会人
「とりあえず、串盛りと枝豆とビール2杯お願いします」
いつもの調子で簡単に頼むと、あとは好きなのを頼みなよとメニュー表を渡してくれた。
中々決められない私の性格を知ってからは、先に簡単なものだけを頼み、あとはゆっくりと考えられるようにしてくれるようになった。
そして一番変わったことは…
「お疲れ様!」
運ばれてきたジョッキを片手に乾杯をして、冷え冷えのビールをゴクゴクと喉を鳴らしながら半分ほど飲み込んだ。
「文香は2杯までね」
「はい。わかってます。二十歳になったらとことん付き合ってくださいね」
私の言葉に彼…生武康臣(いくたけ やすおみ)さんは苦笑いをしながら、酔いつぶれるまでつきあってやるよと笑った。
つきあいだした頃は未成年だからと断っていたお酒も、少しだけ飲んでみたら?と言われて飲んだビールがおいしくて、康臣さんと一緒の時だけ飲むようになった。
それでも2杯だけ。
もっと飲みたいと思っても、それ以上は飲ませてはくれない。
だから二十歳になったら好きなだけ飲ませてくれると約束までしてくれている。
そんな康臣さんとも付き合いだして半年、つきあいも順調で結婚の事を考えるようになっていた。
少し早いかなと思うけど、康臣さんとだったら素敵な未来を想像できるから近い将来そうなればいいなと心の中で思っていた。
