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俊光と菜子のホントの関係

第7章 『少しだけでも……』


 *


 俺と智樹が大学生になってから、二ヶ月が経った。

 まだ大学生活には慣れきれてないけど、講義での話が興味深くて面白かったり、新しい友達も出来たりして、それなりに楽しめてはいた。


 今日も午前中の講義のあと、白を基調とした清潔感のある広い学食で、智樹と一緒に並んで昼飯を食っている。


「いやぁー……セーラー服姿の女子高生って、なんでこんなに眩しいんだろうなぁー」


 智樹は、右手にカレーをすくったスプーン、左手にはスマホを持ちながら、目を細めてため息混じりにポツリと呟いた。

 智樹のヤツ。カレー食いながらずーっとスマホ眺めっぱなしだぞ。

 しかも、そのスマホ……俺のだし。


「智樹。いい加減返せよ」


 俺が天ぷらそばをすすりながら智樹に催促するも、


「いいだろ別にー。お前の物はオレの物、オレの物はオレの物だ」


 と、ワガママ全快。どっかで聞いたセリフだな、それ。


 なんで智樹が自分のスマホじゃなくて、俺のスマホを持ちっぱなしなのかというと、NINE(ナイン)というSNSに送られてきた画像が原因だった。

 その画像というのが、菜子が高校の教室で、明里ちゃんを含めた友達数人と集まって撮ったもの。菜子はそれを、四枚送ってきた。

 で、横からそれを覗いてきた智樹が、セーラー服姿の女子高生に心を奪われると、ガキ大将のように俺からスマホを横取り。こうしてスマホを独占しているというワケだ。


 智樹は、大学に入ってからイメチェンをした。全体的に立てていた髪を下ろしたら、耳が隠れるぐらいの長さとなった。前髪は、額を台形に出して分けている。卒業した高校の校則で禁止されていた染髪もし、焦げ茶色へと変わった。

 格好は爽やかな白系が多くて、シンプルなモチーフ付きのシルバーネックレスまで身に付けている。

 相変わらずチャラいけど不思議とイヤミがなく、大学でも女子人気は絶大だった。

 基本、人間味のあるいいヤツなんだから、智樹がその気になれば本気の恋愛とか出来そうなものなのに。なんか、軽くしているのが勿体ない気がする。



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