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俊光と菜子のホントの関係

第11章 『一旦距離を置きたい』


「そしたらさぁ……菜子、今日さっそくうちに泊まりに来ない?」

「えっ!? いいのぉ!?」


 嬉しビックリして、明里から少し離れて顔を見合わせた。


「いいでしょ。お父さんもお母さんも菜子好きだから、きっと大歓迎よ。もち、晃もね!」

「わーい、やったぁ! 私、お泊まり許可絶対もらおーっと!」


 嬉しい、楽しみー! と、一気にルンルン気分になっていたら、


「……いいなぁー、お泊まりー」


「ひゃあーっ!」


 また突然の違う声にビックリしちゃったよー!

 ていうかこのパターンって、まさかまさかの――


「もーうっ、やっぱりエリナかぁー」


 昨日と一緒だ。いつの間にかそばに立っててニマニマと笑ってるしー。


「んふふー、ごっめーん。楽しそうだったから混じりたくなっちゃってー。ねぇ、アタシも泊まりたーい」

「ダーメッ。今日は菜子と二人だけでラブラブしたいのー。
 エリナは、また今度ねー」

「ひゃっ」


 一度離れた明里が、今度は横から私をぎゅうっと強く抱きしめてきた。


「はいはい、わかりましたよーっと。
 そんならぁ、今度うちにも泊まりに来てよー。そしたらぁ、夜通しでエッチビデオ鑑賞会しよー。フフフー」

「っ! やだぁーっ、あんなの夜通しはキツいよぉー!」


 あの『オーマイガー!』を思い出してワタワタする私に、二人はケラケラとウケていた。




 ……俊光君。


 すぐには無理だけど、これから徐々に徐々に、普通のお兄ちゃんとして見ていくようにするからね。

 私、ちゃんと普通の妹に戻っていくからね。


 でも……そうやって変えていこうとする私の心は、やっぱりズキズキと痛むだけだった。



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