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俊光と菜子のホントの関係

第4章 『私と俊光君』


「あはは、悪い悪い。これやるからさ、機嫌治せよ」

「え……何を?」

「ほい。ささやかな入学祝い」


 俊光君が上着のポケットから取り出したのは、小さなギフト用の平袋。


「え? わ、私に?」

「うん。趣味に合うかどうかだけどな」


 ウソ……何だろー。

 ドキドキしながら開けてみると――


「うわー、可愛い!」


 これ、ヘアピンだぁ。

 先端部分に小さなピンクのリボン。そのリボンの真ん中には、四角いビジューもついている。


「あらー、いいじゃない。俊光もいいセンスしてるわね」

「まさに、その髪型に合うヤツじゃないか」


 ホントそう。私の趣味にもメッチャ合うし!

 これを、買い物に興味薄っの俊光君が、私のために選んで買ってくれたなんて……今度は嬉し泣きしちゃうよ。


「ありがとー俊光君!」

「気に入ったか?」

「すっごく!」

「そっか……なら良かった」

「ねぇ、つけてみていい?」

「あぁ」


 俊光君に優しく見つめられながら、私は左側のこめかみ辺りの髪につけてみた。


「どう、かな?」

「……うん。いいじゃん。似合ってる」

「か……可愛い?」


 今までと違う心境で訊くと、すごくドキドキする。

 聞きたい。俊光君の口から……。


 俊光君は、少し間を空けてから――



「……おう。可愛い可愛い」



 と、私の髪を――クシャッと触った。


 ひゃーっ! ど、どうしよー! 髪クシャされて、すっごい心臓がバクバクしちゃってるよー!

 と、とりあえず何かリアクションしないとっ!


「っ…………わ、わーいっ! やったぁー!」


 ど、どうかな。いつもどおりに喜んでるところを見せれた……かな?


「菜子いいなぁ。ねー俊光ぅ、お母さんにも何か買ってよぉ」

「やだよ。自分で買えば?」

「もうっ。息子のクセに、お母さんに冷たいんだからぁ」


 ほっ……良かった。私の心境、バレてないみたい。


「ははっ。菜子は良かったな。優しいお兄ちゃんで」

「あ……うんっ」


 お父さん。ホント……良かったと思う。

 私の好きな人が優しいお兄ちゃんで。

 叶わない恋でも、私……すごく幸せだよ。


 俊光君が……大好き。


 私は楽しい雰囲気を台無しにしないように、俊光君の妹として明るく振る舞った。


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