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Kissシリーズ

第35章 クリスマスのキス

そう言って優しく微笑むものだから、…思わず胸キュンしてしまう。

滅多に見られない表情を、わたしの前だけ出すなんて…卑怯だ。

「俺は逆に誤魔化してばかりだからな。お前の生き方が、眩しく見えたんだ」

「…それでもっと近くで、見てみたいと思ったの?」

「ああ。そしてできれば一番近くで、ずっと見ていたいと思った」

…ストレートな告白。

愛の告白まで、ぶっきらぼうだけど…その分、本気さがダイレクトに伝わってくる。

「…わたし、めんどくさい女よ?」

「ハッキリしているから良い。俺が邪魔な時は言ってくれるだろう? お前がお前らしく生きてくれるのならば、気を使ってくれなくても良いから」

「むぅ…」

自分で自分のことを『めんどくさい女』だと言っているのに、コイツは本当に変わっている。

何となく、シャクだ。

わたしは顔を上げて、改めてアイツの顔を見る。

今も見たことのないぐらい、優しい顔で微笑んでいる。

コイツとずっと一緒にいたら、今まで見られなかった表情も、見せてくれるのかな?

何となく…見たい気もする。

それをわたしだけが独占できるって言うのが、おいしいと思ってしまう。

だから背伸びをして、キスをした。

「っ!? おいっ!」

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