Kissシリーズ
第5章 眠り王子とのキス
そのまま彼の首元に顔を埋める。
彼の匂いもまた懐かしくて、胸が締め付けられる。
愛しているから、別れる。
大人になったもんだ、あたしも。
そんなあたしの頭に、触れるあたたかな手。
「…えっ?」
ゆっくり顔を上げると、苦笑している彼の顔。
「ゴメン…。もしかして、待った?」
「っ!」
涙がボロボロと零れ落ちた。
「なっ何で今頃っ…! もう三年経ったわよ!」
「三年…。どうりで、キレイになったワケだ」
彼も泣きそうな顔で、あたしの頭を撫で続ける。
あたしは感情を堪えた。
このままじゃ、三年前と同じになってしまう。
「…で? 三年前のあたしの誕生日に言いたかったことって?」
「ああ…」
彼は周囲を見回し、紙袋で視線を止めた。
「アレ、取ってくれる?」
あたしは黙って紙袋を取って渡した。
彼は袋の中に手を入れ、小さな箱を取り出した。
「無事だと良いんだけど」
そう言って箱を開け、中身を取り出した。
指輪のケースみたいだ。
彼に悪くて、中身は見ていなかった。
「サイズ、変わっていないといいけど」
あたしの左手を取り、薬指に指輪をはめた。
誕生石の指輪…。キレイ。
「オレと結婚してくれないか?」
「………はい?」
ぴったりはまった指輪を見ていたあたしは、思わず裏返った声を出してしまった。
「ずっと不安にさせたままなのはイヤだから…。結婚して、側にいれば平気かなって」
真っ赤になった彼から出たのは、予想とは全く違った言葉。
「…別れの言葉じゃなかったの?」
「プロポーズの言葉だよっ! …でも当時、さけられはじめたから、ちょっと不安だったんだけど…」
そりゃ、別れがイヤだったから…。
「で、どう?」
「あっああ…」
返事、今しなきゃダメか。
「…あたし、嫉妬深いわよ?」
「知ってる。でもイヤじゃない」
「束縛するよ?」
「良いよ。キミなら」
「しぶといし、しつこいし…。良いとこなんて、ないじゃない」
「あるよ。ずっとオレを好きでいてくれた。それだけで十分だよ。オレのこと、こんなに愛してくれる人なんて、他に誰もいない」
「確かに」
思わず納得してしまう。
「そこまでカクゴが出来ているんなら…結婚しましょう」
「うん、もちろん」
そしてまたキスをする。
二人のはじまりのキスを―。
彼の匂いもまた懐かしくて、胸が締め付けられる。
愛しているから、別れる。
大人になったもんだ、あたしも。
そんなあたしの頭に、触れるあたたかな手。
「…えっ?」
ゆっくり顔を上げると、苦笑している彼の顔。
「ゴメン…。もしかして、待った?」
「っ!」
涙がボロボロと零れ落ちた。
「なっ何で今頃っ…! もう三年経ったわよ!」
「三年…。どうりで、キレイになったワケだ」
彼も泣きそうな顔で、あたしの頭を撫で続ける。
あたしは感情を堪えた。
このままじゃ、三年前と同じになってしまう。
「…で? 三年前のあたしの誕生日に言いたかったことって?」
「ああ…」
彼は周囲を見回し、紙袋で視線を止めた。
「アレ、取ってくれる?」
あたしは黙って紙袋を取って渡した。
彼は袋の中に手を入れ、小さな箱を取り出した。
「無事だと良いんだけど」
そう言って箱を開け、中身を取り出した。
指輪のケースみたいだ。
彼に悪くて、中身は見ていなかった。
「サイズ、変わっていないといいけど」
あたしの左手を取り、薬指に指輪をはめた。
誕生石の指輪…。キレイ。
「オレと結婚してくれないか?」
「………はい?」
ぴったりはまった指輪を見ていたあたしは、思わず裏返った声を出してしまった。
「ずっと不安にさせたままなのはイヤだから…。結婚して、側にいれば平気かなって」
真っ赤になった彼から出たのは、予想とは全く違った言葉。
「…別れの言葉じゃなかったの?」
「プロポーズの言葉だよっ! …でも当時、さけられはじめたから、ちょっと不安だったんだけど…」
そりゃ、別れがイヤだったから…。
「で、どう?」
「あっああ…」
返事、今しなきゃダメか。
「…あたし、嫉妬深いわよ?」
「知ってる。でもイヤじゃない」
「束縛するよ?」
「良いよ。キミなら」
「しぶといし、しつこいし…。良いとこなんて、ないじゃない」
「あるよ。ずっとオレを好きでいてくれた。それだけで十分だよ。オレのこと、こんなに愛してくれる人なんて、他に誰もいない」
「確かに」
思わず納得してしまう。
「そこまでカクゴが出来ているんなら…結婚しましょう」
「うん、もちろん」
そしてまたキスをする。
二人のはじまりのキスを―。