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Kissシリーズ

第39章 純愛のキス・3

悔しいな。

そして悲しい…。

いつまで彼に縛られ続けるんだろう?

こんなこと、もうお終いにした方がいいんだろうか?

わたしの彼を思う心が、彼をダメにさせているんじゃないのか?

…そう思うと、離れようと思う心は大きくなる。

わたしは決めた。

もうコレ以上彼の側にいることは、彼自身のためにもならないし、わたしもこのままじゃ、ダメになる。

だから…。

「なぁなぁ。最近、可愛いコ見つけたんだ! 相談に乗ってくれよ」

「あっあのね…」

わたしはオズオズと彼と距離を取った。

「もう…わたし、あなたの相談に乗るの、やめることにするわ」

「えっ…。何で…」

明るかった彼の表情が、一気に暗くなる。

「だって、あなた変わってしまったんだもの。コレ以上一緒にいても、お互いのためにはならない」

…ヘンなの。

まるで別れ話みたい。

付き合ってもいないのに…。

「変わったって…。どうして今頃…。ずっとオレの近くにいてくれたじゃんか」

「でももう限界なの! 周りの人からも、離れた方が良いって言われ続けて…わたしも辛いのよ!」

彼女とのノロケ話を聞かされ続けることも!

彼女とのことを相談され続けることも!

そんな話じゃなきゃ、あなたはわたしに話しかけてくれないことも!

「もういい加減、うんざりなの! だから別れて!」

…言った後に気付いた。

こんなセリフ、本当は別の意味で言いたかった。

「…別れるって、誰と?」

いきなり両腕を捕まれて、驚いて顔を上げた。

彼は…今まで見たことがないくらい、真剣な顔をしていた。

「誰と、別れるって? 言ってみなよ」

「いっ痛いっ!」

悲鳴を上げても、逃がしてくれない。

わたしは涙を浮かべながら、彼から視線をそらした。

「…彼女と別れて。わたしをっ…選んでよ」

情けない告白に、涙が溢れる。

けれど彼はいきなりわたしの腰を引き寄せ、

「んっ…!」

キスを、してきた。

「…最初から、そう言えよ。ずっとその言葉、待ってたんだからさ」

「ふっ…! …ばかぁ」

「ああ。大バカなんだよ。知ってるだろう?」

そう言って優しく抱き締めてくれる。

…うん、知ってる。

わたしもバカだってこと。

だって大バカなあなたのことを、好きなんだもの。

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