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Kissシリーズ

第40章 甘々なキス・1

アタシの得意なことは、料理だ。

お菓子作りも好きで、親や友達には大好評!

だから何かイベントがあった時とか、差し入れを作ったりする。

それが評判良くて、部活の大会とかのお弁当を作ってきてほしいとまで頼まれるようになった。

まあ代金は貰うし、大量に作るのは好きなので、引き受けていた。

だから大会のある季節は大忙し!

親や友達、果ては先生達の協力も得て、作ったりしていた。

そんな忙しい日々の中、サッカー部が大会で準決勝までいった。

アタシと同級生の男の子が、何でもスゴイらしい。

今時珍しく熱血サッカー少年で、彼のおかげで準決勝まで進めたみたい。

サッカー部には同じクラスの男の子が入っていて、ぜひ差し入れを作って来てほしいと頼まれた。

友達と先生達と頑張って、たくさんのおにぎりとおかずを作って、準決勝を行っている会場へ行った。

会場の熱気は最高潮!

この感覚はキライじゃない。

お昼にサッカー部に顔を出すと、大歓迎された。

この時は給仕に回る。笑顔で選手達を励ましながら、お弁当を回す。

「他におにぎり欲しい人いるー? 中身は昆布だよ」

「あっ、オレ、食いたい!」

勢い良く手を上げたのは、例の活躍している彼だった。

片手におにぎりを持っているクセに…。

でも笑顔でサービスしなきゃ。

試合に響いたら、シャレにならないし。

「はい、どうぞ」

笑顔でおにぎりの入ったお弁当箱を差し出す。

するとむんずっと掴み、がぶっと大口で食べる。

…豪快だなぁ。

「ん~! うめぇ! コレ全部、アンタが作ったの?」

「まさか。手伝ってもらいながら、作ったのよ。まあレシピは全部アタシが作ったのだけど」

「へぇ」

頷きつつも、おかずにも手を伸ばす。

…にしても、本当によく食べるなぁ。

次から次へと手は伸び、そして口の中へ消えていく。

男子高校生の食べっぷりはよく見てたけど、彼はそれより上を行くな。

活躍する為に、力を溜めているんだろう。

「あっ、それじゃあアタシ、他の所も回るから…」

「え~! ダメっ! オレまだ食う!」

そう言ってアタシの持つお弁当箱に手を伸ばす。

…そしてお弁当箱は、空になった。

そして彼は、他の部員達からブーイングを受けた。

昆布はアタシの手作りで、食べたかったという意見が多く飛び交った。

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