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Kissシリーズ

第7章 オレ様とのキス

でも、言うと絶対に調子に乗る!

黙って走っていれば、キライじゃないのにぃ!

……でも黙っているアイツなんて、それこそアイツらしくないしなぁ。

「なぁに黙ってんだよ」

「ぎゃああ!」

いっいきなり背後から抱き付かれた!

コイツは時々、こんなイタズラをしてくる!

「うわ~。汗くせ」

―殺意100%充電完了。

「何ですって!」

振り返ると、アイツの顔が間近にあった。

うっ…!

この至近距離での笑顔は反則だ。

…何も言えなくなってしまう。

「何、オレ様がイイ男すぎて、言葉が出てこない?」

「んなワケ…」

ない、と言えない。

でも精一杯の抵抗で顔を背けると、いきなり顔を捕まれた。

「んんっ…!」

そのまま熱い唇と重なる。

「ん~!」
胸をどんどんと叩くも、そんな抵抗なんてアイツには効かない。

―熱い。

唇から、アイツの熱が伝わってくる。

「ふっ…」

やっと離されたかと思ったら、アイツは唇をぺろっと舐めた。

「なぁっ!」

「今日の自主練、付き合ってよかっただろ?」

「どこがよっ!」

「秋の大会には、絶対に良かったって思えるぜ?」

…それは新記録を出すことを言っているのか。

「待ってろよ」

いきなりわたしを解放したと思ったら、スタートラインに走って行く。

「お前の方から『好きですぅ』って言うようになるからな」

「ななっ!」

「まっ、今はオレ様の方が夢中っていうのも、しゃくだから」

「はあっ!」

何コレ! 告白!?

「今度はお前の方から、していーぜ?」

「誰がだぁ!」

叫びながらも、顔が熱くなっていく。

「…わたしに惚れさせたいなら、ちゃんと優勝して、新記録出しなさいよっ!」

アイツはニッと笑い、ガッツボーズを決めた。

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