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Kissシリーズ

第8章 ストーカーとのキス

最近、アタシには日課になっていることがある。

朝、玄関を出てすぐに。

「おはようございます」

「ひぃっ!」

…と、地面から3センチ飛び上がることだ。

アタシはゆっくりと振り返り…。

「おっおはよう。早いのね」

いつもより三十分は早く家を出たのに…。

「そりゃあもう! 一時間前から待っていましたから!」

一時間…。よし、明日は頑張って一時間半前に家を出よう。

「じゃ、行きましょうか」

そう言ってアタシのカバンを持って、歩き出す。

「ちょっちょっと!」

一つ年下の彼は、何故だかアタシに夢中。

日夜、ストーカーと化してしまった。

ううっ…!

いくら言ってもやめてくれないし、周りからはもう諦めろという声まで出ている。

別にキライなタイプじゃない。

けどストーカーは別っ!

特に行きも帰りも待ち伏せされたり、電話やメールが頻繁なのは恐ろしいの一言に尽きる!

…仮にも首席で入学してきたのに、大丈夫なんだろうか?

いや、頭が良過ぎるとアレというパターンかもしれない。

「先輩、今日の帰り、どうします?」

「えっ?」

「買い物でも行きますか? そろそろ新しい服、欲しがっていたじゃないですか」

そう言ってニッコリ微笑んでくる。

背中にぞわわ~と鳥肌がたった。

何で知っているの? 少なくても彼には話していないことなのにっ!

「先輩が気になっているお店に行きましょうか? 最近駅前に出来たあのお店に」

何でそんなことまでっ!

しかも昨日、友達と雑誌を見ながら教室で話していたことなのに!

軽くパニックになっていると、彼は再び微笑んだ。

「俺、先輩のことなら何でも知っているんです」

度があるだろうぉ~!

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