テキストサイズ

Kissシリーズ

第8章 ストーカーとのキス

「…その為にアタシが苦しんでも?」

「ええ、俺は自分勝手な性格なんで。先輩の控えめな性格とは相性が良いと思いますけど?」

良い…んだろうか?

思わず考え込むと、彼はクスクス笑った。

「ホラ、人の言うことを素直に信じる。そんなところも好きですけど…」

そう言って、ずいっと顔を近付けてきた。

「俺以外の人にそんな無防備な姿、見せちゃダメですよ」

今まで見たことの無い真剣な表情に、心臓が痛いくらいに高鳴る。
「だから、俺がずっと側にいて、先輩を守ってあげますよ」

「いっ一番の障害って、キミだと思うんだけど…」

「言いますねぇ。でも否定はしません」

再び微笑む彼。

「でも先輩だって、俺がいたら安心でしょ? 悪いヤツには絶対に近付けさせませんから」

あっ、くらくらする…。

もういろんな意味で、考えられなくなる。

「だから先輩も、俺に夢中になって」

そして逃げられないアタシに、キスする彼。

いきなり唇を奪うなんてヒドイ…。

けれど胸が熱い。

「愛してますよ、先輩。ずっと俺が守ってあげます」

そして抱き締められる。

息が出来ないくらいの苦しい抱擁。

ああ…くらくらする。

だからだ。

この腕から逃れないのも、何も言い返さないのも。

きっと胸が熱いせいだ。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ