Kissシリーズ
第10章 命のキス
って、やっぱりムリ!
両手両足をバタつかせてしまう。
これは…ヤバイっ!
「部っ長…!」
頭の中に、部長の困り顔が映った。
人口呼吸の後、目を覚ました私に、
「…ったく。はじめてだったんだぞ」
…って、顔を真っ赤に染めながら言っていた。
その意味がすぐに分かった。
だから申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
なのにまた同じことを繰り返してしまった。
「がぼっ!」
あっ、コレは流石にマズイな…。
体の力が抜けていく。
「…のバカっ!」
ぐいっと水の中から引き上げられた。
「がほっ、ごほっ!」
「何度同じこと繰り返せば気が済むんだ!」
「ごほっ…って、部長?」
引き上げてくれたのは、制服姿の部長だった。
「部室に忘れ物を取りに来たら、プールで誰か泳いでいると思ったら…一人で何してたんだ?」
うっ…怒ってる。しかもハンパじゃなく怒ってる。
「おっ泳ぐ練習を…」
「一人でか?」
「…はい」
「このっバカっ!!!」
ひぃっ! …耳元で怒鳴らないでほしい。
「前にも同じことしたくせに、学習能力がないのか、お前はっ!」
「はっ反省してます。反省してますから、少し声のボリューム落としてください。また気失いそうです…」
「あっ悪い…」
部長は黙ってしまった。私の手を掴み、腰を掴んだまま。
「…ところで、そろそろ離してくれませんか? 流石にもうプールには入りませんから」
と言うか、もう授業以外では入らない。
そう心に決めた。
「…いや」
「えっ」
いきなり捕まれた手と腰を引かれた。
そのまま抱き締められる。
「あの、部長?」
「お前はこうして捕まえて見ていないと、何するか分からないからな。―離さない」
そう言ってぎゅうっと抱き締めてくる。
「あの、これじゃあ着替えることも出来ないんですけど…」
「もう少し…このままで」
そう言った部長の体は、震えていた。
「…部長?」
「心臓がっ…止まるかと思った。お前が溺れているのを見て…」
「あっ…」
「前にもあって…。びっくりどころの話じゃないんだぞ?」
「…はい。すみません」
部長の背中を優しくさすった。少しでも震えが止まるようにと。
両手両足をバタつかせてしまう。
これは…ヤバイっ!
「部っ長…!」
頭の中に、部長の困り顔が映った。
人口呼吸の後、目を覚ました私に、
「…ったく。はじめてだったんだぞ」
…って、顔を真っ赤に染めながら言っていた。
その意味がすぐに分かった。
だから申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
なのにまた同じことを繰り返してしまった。
「がぼっ!」
あっ、コレは流石にマズイな…。
体の力が抜けていく。
「…のバカっ!」
ぐいっと水の中から引き上げられた。
「がほっ、ごほっ!」
「何度同じこと繰り返せば気が済むんだ!」
「ごほっ…って、部長?」
引き上げてくれたのは、制服姿の部長だった。
「部室に忘れ物を取りに来たら、プールで誰か泳いでいると思ったら…一人で何してたんだ?」
うっ…怒ってる。しかもハンパじゃなく怒ってる。
「おっ泳ぐ練習を…」
「一人でか?」
「…はい」
「このっバカっ!!!」
ひぃっ! …耳元で怒鳴らないでほしい。
「前にも同じことしたくせに、学習能力がないのか、お前はっ!」
「はっ反省してます。反省してますから、少し声のボリューム落としてください。また気失いそうです…」
「あっ悪い…」
部長は黙ってしまった。私の手を掴み、腰を掴んだまま。
「…ところで、そろそろ離してくれませんか? 流石にもうプールには入りませんから」
と言うか、もう授業以外では入らない。
そう心に決めた。
「…いや」
「えっ」
いきなり捕まれた手と腰を引かれた。
そのまま抱き締められる。
「あの、部長?」
「お前はこうして捕まえて見ていないと、何するか分からないからな。―離さない」
そう言ってぎゅうっと抱き締めてくる。
「あの、これじゃあ着替えることも出来ないんですけど…」
「もう少し…このままで」
そう言った部長の体は、震えていた。
「…部長?」
「心臓がっ…止まるかと思った。お前が溺れているのを見て…」
「あっ…」
「前にもあって…。びっくりどころの話じゃないんだぞ?」
「…はい。すみません」
部長の背中を優しくさすった。少しでも震えが止まるようにと。