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Kissシリーズ

第11章 真面目なキス

「結婚しないか?」

「…はい?」

突然真面目な顔で言い出した彼に、思わず聞き返してしまった。

そう、『彼』。

中学時代からの付き合いで、高校で恋人になったあたしの『彼』。

が、高校三年の夏、いきなり言ってきた。

「結婚って…良いケド、何でまた突然…」

「いっ良いのか?」

「良いわよ。もう六年の付き合いだけど、アンタがどういう人か、大体は理解出来たから」

そう言うと、何故かムッツリされた。

「…そんなに簡単な人間じゃないぞ、オレは」

「じゃあアンタはあたしのこと、全然理解していないの?」

「そっそんなことはないっ!」

「なら、ちょーど良いぐらいで」

ニッコリ笑うと、再びムッツリされた。

「結婚は良いんだけどさぁ、とりあえず、あたしの大学受験が上手くいってからね」

今日も彼の部屋で勉強会。

色気の無いったら…。

でもこういう付き合い、キライじゃない。

「そっそうだな。とりあえず、お前が大学を合格してからの話にしよう」

そう言って参考書に目を通す彼。

学年で5番以内に必ず入る彼は、すでに推薦で入ることを決めた。

けれどいつも真ん中の順位のあたしは、彼と同じ大学に進むにはこの夏を犠牲にしなければいけない。

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