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Kissシリーズ

第13章 天然のキス

 私の幼馴染は天然だ。
 家が隣同士で母親達が仲が良かったので、私達は幼い頃から一緒にいた。
 一つ年下の男の子。
 可愛くて、ふわふわした感じがとても好き…だった。
 過去形の理由は、学校に入ってからだ。
 小学校に上がって中々一緒にいられなくなったせいか、アイツはしょっちゅう行方不明になった。
 そのたびに周りは大騒ぎ。
 だから私は出来るだけアイツと一緒にいることを、周りから言われた。
 仕方なく一緒にいて…私はもう高校一年、アイツは中学三年になっていた。
「ウチの高校に? 何で?」
「だってキミと一緒にいられるから」
 アイツがへらっと笑えば、周囲にお花が見えそう。
 …けれど十年の付き合いになる私には効果無い。
「アンタねぇ…。ウチの高校って結構レベル高いのよ? 今から頑張っても厳しいんだから、他のにしなさいよ」
 私の部屋で、二人っきり。
 会話はアイツの高校受験のこと。
 テーブルに高校の資料を広げて見せる。
「あっ、この高校、男子校だけどウチから近いじゃん。レベルもアンタなら平気みたいだし、ここに…」
「ヤダ」
「じっじゃあ、ここは? ちょっと離れてるけど、私立だし悪くないわよ?」
「ヤダ」

 ぶちっ★

「じゃあどこがいいのよ!」
「だからぁ、キミの通っている高校」
 そう言ってどこからかウチの学校のパンフを取り出した。
「ココにしか行きたくない。だから勉強教えて?」
 にっこり笑顔で無茶なことを…!
「だったら塾にでも行きなさいよ。そして家庭教師もつけてもらいなさい。そうすれば、一緒に通えるから」
「えっ? じゃあ合格したら、一緒に学校に通ってくれるの?」
 うっ…。しまった…。
「まっまあ合格したら、ね」
「うん! それじゃ頑張る!」
 頑張るって言っても…コイツの偏差値と、ウチの偏差値は3倍の差がある。

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