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Kissシリーズ

第13章 天然のキス

 まあムリだってことを実感すればいいんだ。
 ………そう思っていたのに。
「何でぇ!」
 春。アイツはウチの男子制服を着て、ニコニコとウチの玄関先に立っていた。
「えっ、だって合格したし?」
 しかも首席合格だって言うし!
 私はがっくり項垂れながらも、アイツと学校へ行くことにした。
「嬉しいなぁ。またキミと一緒に学校に通えるなんて」
「…中学時代も一緒だったじゃない」
「うん。でも一年ぶりだから、余計にかな」
 そう言って一年前と同じく手を繋いでくる。
「ちょっちょっと!」
「良いでしょ? そういう約束だもん」
 うぐぐっ…!
 振り解きたかったケド、一年ぶりのアイツの手が予想より大きくて、何となく離れたがった。
「…でも良く頑張ったわね。そこは褒めてあげる」
「ありがと。そりゃ努力したもの。キミとまた一緒にいる為に」
「……いい加減、幼馴染離れしたら? アンタ、もてるんだし、そろそろ彼女の一人でも…」
「えっ? ボク達、付き合ってるんじゃないの?」
 ………。
「はい?」
 突然何を言い出すんだ、このお坊ちゃんは。
「だっていっつも一緒だしぃ。一緒にいるとドキドキするし」
「…私は別の意味でドキドキするけどね」
 いろんな意味で心臓に悪いんだ、コイツ。
「じゃ、改めまして」
 ぐいっと手を引かれ、顔が間近に迫る。
 そしてそのまま、軽くキスされる。
「~~~っ!」
「―キミのことが好きだよ。未来永劫、ずっと一緒にいたい」
「なっなぁっ!」
 言うこととやることが逆だろっ!
 言いたくても頭に血が上って、うまく口が回らない。
「キミだってボクと一緒で、そう悪くは無いと思ってるデショ?」
 …そりゃイヤだったら、とっくに見捨ててるケド。
「それって愛情があるって証拠だよね?」

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