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Kissシリーズ

第16章 秋のキス

「もうすっかり秋だねぇ」

「あっああ」

「食べ物の美味しい季節よね。わたし、焼き芋とか焼き栗とか大好きなの! 毎年ついつい食べ過ぎちゃうのよ」

「へっへぇ~」

わたしは今、彼氏と一緒に公園を散歩している。

小高い山の上に作られた公園には、秋の植物がたくさんある。

金木犀の花が咲き、紅葉も真っ赤だ。

しかしそれにも増して、彼氏の顔色が真っ赤。

理由は分かっている。

わたしと、手をつないで歩いているからだ。

でも彼氏は少し引き気味で、わたしに引っ張られているカタチになっている。
何となくオクテの彼氏だけど、優しくてわたしは大好き!

だから三ヶ月前、わたしの方から告白した。

それ以来、遊びに行く約束はほぼわたしの方から。

男友達より優先してくれるのは良いけど…何だか無理やりわたしに合わせてくれているようで、ちょっと申し訳ないかな。

ふと目の前に紅葉が降って来た。

手を伸ばして取って、振り返った。

「どっどうかした?」

ビックリしている彼氏の目の前に、真っ赤に染まった紅葉を差し出す。

「ふふっ。同じ色。真っ赤っか」

「ええっ!?」

彼氏は片手で自分の顔に触れる。

熱いことに気付いたようだ。

「可愛いわよ」

「可愛いってねぇ…」

彼氏はため息をついて、紅葉に手を伸ばしてきた…かと思ったら、わたしの手ごと掴んで…。

「んっ…!」

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