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Kissシリーズ

第20章 あたたかなキス

…なっ何か落ち込んでる?




彼の周囲に、暗雲が見えるんだけど…。




「あぁ、もう分かったよ。オレもハッキリ言わないのが、悪いかなとは思ってたから」




「うん…」




彼は真っ直ぐにアタシを見つめた。




「好きだよ、お前のこと。小さな頃から、ずっと」




どくんっ!




心臓が高鳴った…せいか。




「ごほっ! ぐほっ! がはっ!」




息が詰まった。




「だっ大丈夫か?」




「うっうん…」




告白されてむせるなんて、情けない…。




ムードの欠片も無い…どころか、女の子としての可愛さが無い。




でも彼は心配そうに、アタシの背中を撫でてくれる。




…何で彼はアタシのことが好きなんだろう?




アタシは冷めた性格をしている。




けれど彼は優しくて、あたたかい人。




イケメンだし、温和な性格もしているから、人気が高い。




だからアタシと一緒にいると、ヘンな眼で見られやすいのに…。




「も、平気だから」




「そうか?」




げっそりした顔で振り返る。




彼は優しく微笑んでくれてる。




だからアタシは…彼に寄り掛かる。




「おっおい、本当に大丈夫なのか? 保健室、行くか?」




「良いの。ココが1番、安心するんだから」




ぎゅうっと抱き付いて、彼の顔をじっと見つめる。




彼は心得たように、キスをしてくれる。




アタシの求める、あたたかなキスを。




「うん、やっぱり良いわね」




「何がだよ?」




「このあたたかさが、よ。手放す気が、なくなるわ」




そう言って頬にキスをすると、眩しい笑顔がアタシを照らした。

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