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Kissシリーズ

第21章 子供とのキス

最近、ふと考える。

恋愛の歳の差、どこまでが許されるものなのかしら?

…ということを考えるようになったのは、あのコを好きになってしまったからだ。

わたしの実家はケーキ屋と喫茶店を一緒にしたようなお店。

結構人気で、毎日商品は売り切っている。

一人娘であるわたしは、将来店を継ぐ為に、毎日遅くまでお菓子作りを頑張っていた。

そんなある日の夜。

季節メニューを親から任せられ、わたしは必死になっていた。

日付けが変わるぐらいまで、店に残っていた。

…店の裏が実家で良かったと、その時ほど思ったことは無い。

そしてその日も、日付けが変わるギリギリまで店に残ってしまった。

親からいい加減にしろとの電話で、我に返った。

ちょうどハロウィンの季節だったので、カボチャを使ったクッキーを作っていたところだった。

試作品が焼きあがったので、親に試食してもらう為に袋に入れて、慌てて店を飛び出した。

そこで、

どかんっ!

と、誰かに激突してしまった。

「ごっゴメンなさい! 急いでて…」

しりもちをついたわたしだったけど、顔を上げて、思わず呆気に取られた。

ぶつかったのは…幼い男の子。

小学校高学年あたりだろうか。

…にしても、キレイな顔をしている。

「いたた…。ううん、僕もちょっと気を抜いていたから」

変声期前の声が、やたらに良く聞こえてしまった。

って、ぼ~としてる場合じゃない!

「本当にゴメンなさい。大丈夫?」

わたしは立ち上がって、男の子に手を差し出した。

「うん、ありがとう」

男の子はわたしの手を握って、立ち上がった。

…スベスベしてるなぁ、最近の子供の手って。

……それともわたしの手が、お菓子作りで荒れてるだけ?

ちょっと落ち込み気味になりそうだった時、男の子は屈んで何かを拾い上げた。

「コレ、おねーさんの?」

「へっ? あっ!」

男の子が持っていたのは、パンプキンクッキーだった。

どうやらぶつかったショックで、落としてしまったらしい。

「うん、そうなの」

「へぇ。手作り?」

「うっうん」

男の子はクッキーをじっと見たまま、動かない。

こっこれはもしかしなくても…!

「たっ食べたいの? クッキー」

「うん!」

男の子は眩しい笑顔を浮かばせた。

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