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Kissシリーズ

第3章 イケメンとのキス

「何かキミって、エロいね」

「………はい?」

何を言われたか、一瞬理解できなかった。

と言うより、頭が真っ白になった。

生まれて十七年。

何事にも平凡で無難に生きてきた私に対し、目の前のオトコは一体何を言い出すのか。

目の前のオトコは、学校で1番イケメンだと言われている。

言わばカリスマ性のある、美青年だ。

いつも誰かに囲まれていて(主に女の子)、何事にも率先してまとめ役をしている。

流行を取り入れた格好をしているが、学生としての態度は真面目で優秀。

だから彼は多くの人に好かれる。

そんな人と私が二人っきりで一緒にいる理由は、たまたまだ。

放課後、食堂近くの休憩場でバッタリ会った。

そして紙パックのオレンジジュースを奢ってくれた。

一口飲んで、一息ついた途端のセリフ。

思わずノーリアクション。

「ジュースの飲み方もそうだけど、存在自体が何となく」

「………地味、ではなくて?」

「うん。エロい」

…何かの聞き間違いかと思ったけれど、違ったみたいだ。

彼はにっこりと微笑み、缶コーヒーを飲んだ。

「自覚なかった?」

「全然」
と言うか、今まで誰にも言われたことなかった。

「俺はずっと思ってたけどな。伏し目がちの時とか、考えている口元に手をやる仕種とか。すっごい色気感じてた」

今まであんまりしゃべったことがなかったが…人の性格って見た目じゃないと思った。

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