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Kissシリーズ

第21章 子供とのキス

「でもそれ、わたしが作ったのだし…」

「でもおねーさん、裏口から出て来たってことは、このお店の人なんでしょう?」

「まあね。でもまだ半人前だし…」

「でも美味しそうだよ」

…さっきから、『でも』の繰り返しが激しいなぁ。

お互いに譲らないものだから。

「わっ分かったわ。わたしの負けよ」

わたしは降参した。

年下のコと言い合っていても、負けた気分になるだけ。

「ホント! ありがと、おねーさん!」

そう言って男の子はクッキーを持って、走り去った。

でも…何でこんな遅い時間に、子供が?

わたしは首を傾げつつも、家に帰った。

それからというもの、男の子は毎日のように、お店に来た。

何となくわたしが男の子の相手をした。

そして話すようになって、何度か一緒に遊んで…気付いてしまった。

男の子に、心惹かれてしまった自分に。

しかし…歳の差が問題。
男の子は出会った時、何と小学5年生!

1年経った今では、6年生になった。

そしてわたしはと言うと…当時、高校2年生。

現在、高校3年生…。

『犯罪』の二文字が、頭の中を駆け巡る。

「う~」

うなりながらも、ケーキを作る手は止まらない。

よりにもよって、今日は男の子の誕生日。

プレゼントはわたしの手作りのお菓子が良いというので、男の子の好きなチョコレートケーキを作っていた。

こういう特別な日にこそ、告白する絶好のチャンスだけど…。

断られるのならまだしも、気味悪がられたら立ち直れない。

…そのぐらい、大好きだから。

嫌われたくはない。

「はぁ…」

ため息をつきながらも、ケーキは完成。

うん! 立派な出来だ。

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