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Kissシリーズ

第24章 ワル男とのキス

手元の書類には、ヤツがナイトクラブに出入りする写真と報告書がある。

1回だけならば、目もつぶろう。

しかし…合計15回はさすがに…。

「はぁ…」
「苦労するな。生徒会長」

楽しそうに私を見つめるヤツを、思いっきり睨み付けた。

「誰が苦労させてるんだ? コレでぶっ倒れでもしたら、キサマに責任取らせるからな」

「わぁお! それって結婚しろってこと?」

「はあ!? キサマの面倒を一生見てられるか!」

フイッと顔をそらした。

ヤツの周囲にいる女子生徒達を日々見ていると、本当に幸せなのかどうか聞きたくなる。

それに…私は真面目一筋で生きてきた。

ヤツの周囲にいるような、キレイに美しく着飾った女性達とは、全く正反対のタイプの女だから…。

…だからコイツに意見できるんだろうな。

「とにかく! 女性問題、暴力問題は極力控えてくれ! いい加減にしないと、学校にいられなくなるぞ!」

「ふぅん…。まっ、それでも良いか」

ヤツは興味のなさそうに、軽く息を吐く。

…こんなヤツ、早くいなくなればいい。

そうすれば、安全で平和な学校生活を送れるんだ。

さみしくなんて…ない。絶対に思わない。

唇を噛んで睨みつけると、ヤツはニヤッと笑った。

「でも、その時はアンタも一緒な」

「はぁ!?」

…またいつもの口だけのか。

しかしヤツは立ち上がり、いきなり私を抱き上げた。

「なっ! ちょっえっ、放せ!」

「オレはアンタが良いんだ。アンタに決めた」

ヤツの顔が間近に迫ってくるのを、私は…止められなかった。

「んっ…」

ヤツの熱い唇に触れて、背筋に電気が走った。
「イヤだっつっても、連れてくぜ? アンタはずっと、オレの側にいるんだ」

「…勝手だな。キサマは」

「ああ、勝手さ。でもアンタは自由にさせない」

真面目な顔になって、私の額・瞼・頬に口付けていく。

「オレのモンだ。一生、放しはしないからな」

首筋に熱い熱を感じた。

「んっ…! きっキサマ、今っ…」

「コレが印だ。消えても、また付けるからな」

そう言って笑いながら、キスマークを舐めた。

勝手で、自由で、ワガママで…なのに、この腕から逃げられない。

私は言葉で答えるかわりに、ヤツの体に強く抱きついた。


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