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Kissシリーズ

第25章 バレンタインのキス

わたしは慌てて彼の手元を覗き込んだ。

…確かにチョコだった。

わたしの作った、ハート型のシンプルなチョコ。

「えっ…まさかっ!」

慌てて袋の中に手を入れ、もう一つの箱を開ける。

こっちは…おかきだった。

いやん★ 間違えちゃった♪

「って、思ってる場合じゃない!」

二つとも同じ箱だったから、間違えちゃった!

「ん? どうした?」

彼の方を見ると、すでにチョコを食べはじめていた。

「あっアレ? 甘い物、キライなんじゃなかったっけ?」

「あ~、そう言ったっけ?」

そう言いながらも、彼はチョコを食べ終え、コーヒーを飲んだ。

「確かに甘いモンは苦手だけど、お前の作ったものなら別だろ?」

「えっ? ええっ!?」

カーッと頭に血が上る。

「だから、彼女が作ったもんは、別なんだよ」

「えっ、なっ、だって…」

一度も好きって言ってくれなかったのに…。

…こんな時に言うなんて、卑怯だ。ズルイ…。

「でもこのチョコ、結構甘いな」

「えっ!?」

いっ一応彼に食べもらうところを妄想(!?)しながら作ったから、甘さ控え目のビターチョコで作ったのに!

こっコレでも甘いって言うんだから、よっぽどの辛党なんだろうな。

「あっ、ゴメン…。そっそうだ! こっち、おかきも作ってきたから、良かったら口直しに…」

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