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Kissシリーズ

第25章 バレンタインのキス

おかきの箱を差し出そうとして、顔を上げた時…。

「あっ…」

彼の顔が、間近にあった。

そしてそっと唇が重なった。

「…確かに甘いね」

唇から、甘さが口の中に広がった。

「だろ?」

間近にある彼の顔は、真っ赤だった。

「それにしても、おかきまで作ってきたのか。もしかしてお菓子作りが趣味?」
「そっそんなワケないでしょ? ただ、甘い物キライって聞いたから、ならおかきの方が良いかなって思って作ったの!」

「でもあのチョコも作ったんだろ?」

「…食べてもらえなくても、一応作りたかったの!」

「ふぅん。相変わらず一生懸命だよな」

「当たり前でしょ! あなたに嫌われたくなくて、好きになってほしくて、一生懸命になるのがわたしにとって当然なの!」

「お前のこと、嫌いなんて言ってないだろ?」

「好きとも言ってないじゃない!」

「あっ、そっか」

ううっ…!

相変わらずクールだなぁ。

でもそんなところも好きって思うんだから、本当にわたしは彼のことが好きなんだな。
「じゃあ改めて」

ぎゅうっと彼に抱き締められた。

「きゃっ!」

「―好きだ。オレのことで一生懸命になるお前が、愛おしくてたまらない」

「なっ、なななっ!」

きゅっ急に言われると、心臓が痛いくらいに高鳴る!

眼もぐるぐる回ってきて、息苦しくなる!

でも、今、言わなくちゃいけない言葉がある!

わたしは顔を上げて、彼の眼を真っ直ぐに見つめた。

「わっわたしも大好き! あなたのことが1番大好きだからっ…!」

「ああ、知ってる」

彼は優しく微笑んで、また抱き締めてくれた。

やっぱりバレンタインデーは甘くなくちゃ、ね♪


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