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Kissシリーズ

第28章 お坊ちゃんとのキス

アタシは今、高校二年生。

夏休みになってもやることがなかった。

部活もしていなければ、宿題なんて夏休みがはじまってから一週間で終わらせてしまった。

なのでバイトをすることにした。

友達から紹介されたのは、大金持ちのメイドのバイト。

そこのお坊ちゃんがまだ中学生で、夏休みで家にいることが多くなるので、その相手をするのがバイト内容。

破格の給料なので、すぐにOKした。

そしてバイトをはじめて一週間後。

最初は8人いたメイド達は、すでにアタシのみになっていた。

原因はこのお坊ちゃん。

天使のような可愛い顔をしてて、最初はアタシ達を大歓迎してくれた。

最初は優しかった。思いやりがあると、メイド達ははしゃいでいた。

そう、『最初』は。

正しくは『最初』だけは、だった。

徐々に小悪魔的…いや、魔王クラスの意地の悪さを出してきた。

とんでもないイタズラ小僧。

おかげでアタシ一人が日々、このお坊ちゃんの相手をすることになった。

何故アタシ一人だけが残っているのかと言うと、実家が武道の道場をやっており、一通りの格闘技を身に付けていた。

おかげで運動神経と、心は強い。

なのでお坊ちゃんの仕掛けるイタズラも、イジワルな物言いもへっちゃらなのだ。

「お坊ちゃん、そろそろ宿題をなさった方がよろしいのでは?」

「メンドイ。お前、やっといてよ」

今日も今日でふてぶてしい態度。

アフターヌーンセットをベランダで食しているお坊ちゃんは、機嫌が悪い。

彼の両親は仕事が忙しく、滅多に日本にすら帰って来れない。

周囲の人間はそれを気遣って、彼を甘やかして育てたんだろうな。

「お坊ちゃん、中学の勉強についてこれないなら、家庭教師に教えてもらった方が良いですよ?」

「誰があの程度の問題を解けないと言った!」

「アタシに頼むぐらいですから、難しいのかと…」

「そんなワケないだろ! あのぐらい、すぐに全部終わらせてやる! 準備しろ!」

「かしこまりました」

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