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Kissシリーズ

第28章 お坊ちゃんとのキス

「ええ。高校生ですから」

「ずっとは…いられないのか?」

まあ高校卒業して、就職先をココにすれば可能だけど…。

「ずっとはムリですね。今年の夏だけなら、いられますが…」

「ダメだっ!」

「えっ…いや、ダメだと申されましても…」

「お金ならいくらでも払う! だからお前はボクの側にずっといろっ!」

そう言って、お坊ちゃんはアタシをぎゅっと抱き締めた。

…可愛いなぁ。

こんなふうに一生懸命な彼の姿を、ずっと側で見続けたいとも思う。

できるんだろうか? アタシに。

きっと彼はすぐに成長する。

そうすればアタシなんか必要じゃなくなるだろう。

だけど『その時』までは、側にいても良いかもしれない。

彼の成長を、見続けるのも楽しそうだ。

「…分かりました。お坊ちゃん」

「えっ…?」

涙でうるんだ彼の頬を優しく撫で、アタシは微笑んだ。

「学校へ通いながらになりますが、お坊ちゃんが飽きるまでお側にいますよ」

「ほっ本当か?」

「ええ。アタシはお坊ちゃんに嘘はつきません」

「どうだか。お前は口が上手いからな」

「本当ですよ。お坊ちゃんがアタシを必要としてくれるまで、側におりますから」

「…ボクはお前を手放すつもりはないぞ? お前みたいな女、はじめてだったし…」

まあ普通の女の子ではないことは自覚している。

「ずっと…ずっとボクの側にいるんだぞ?」

「はい、お坊ちゃん。仰せのままに」

アタシは跪いたまま、深く頭を下げた。

「そっそれとだな」

「はい?」

お坊ちゃんは顔を真っ赤にして、呟いた。

「…もう一度、キスをしろ」

「はい、お坊ちゃん」

アタシはニッコリ微笑んで、彼にキスをした。

ずっと側にいるという、忠誠と愛のキスを―。

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