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Kissシリーズ

第29章 義弟とのキス

わたしが義弟と出会ったのは、小学5年生の時。

義弟は2つ年下で、小学3年生だった。

わたしは2歳の時に母親を病気で亡くしていて、ずっと父と二人暮らしだった。

義弟は5歳の時にお父さんを事故で亡くしていて、それからはお母さんと二人で生きてきた。

わたしの父と、義弟のお母さんが結婚することになり、わたし達は一緒に暮らすようになった。

新しい義母はとても優しくて可愛い人。

本当は女の子が欲しかったのだと言って、わたしをとても可愛がってくれた。

父も義弟のことを可愛がっていた。

わたしと義弟の仲も良くて、幸せだった。

両親とも仕事で忙しく、わたしと義弟だけの生活が長かった。

…けれど変化が起こっていたことを、わたしは気付いていた。

変化は義弟に起こっていた。

あのコはわたしを…1人の女性として見始めた。

それに気付いたのは、わたしが中学二年生の夏。

夏休みになり、わたしは自分の部屋のベッドで昼寝をしていた。

窓を開ければ涼しい風がふいてきて、風鈴が涼しげな音色を出していた。

午前中は部活があったので、疲れて眠っていたのだ。

そこへ、義弟が部屋に入ってきた。

「姉貴? ちょっとマンガ借りたいんだけど…」

二回ノックした後、義弟は部屋に入ってきた。

わたしは気付いていたけれど、疲れから起きる気力がなかった。

だけど義弟が近付いてくる気配を感じていた。

「…何だ。寝てんのか」

ぎしっとベッドが軋む。

どうやらベッドに腰掛けたようだ。

「無防備な格好で寝やがって…。襲われてもしらねーぞ?」

誰にだよ、と心の中でつっこむだけの余裕があった。

この時までは。

義弟は手を伸ばし、わたしの頭を撫でた。

いつもはわたしが義弟の頭を撫でていた。

けれど最近では嫌がられるので止めていたが、こうして撫でられるのも良いものだと思った。

しばらく義弟は無言でわたしの頭を撫でていた。

しかし手が止まり、わたしの頬へと移動する。

ギシッと耳元でベッドが軋む音が聞こえた。

そして―唇にキス、された。

「っ!?」

驚いて眼を開けると、間近に義弟の顔。

すぐに眼を閉じた。

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