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Kissシリーズ

第29章 義弟とのキス

このまま起きても、どう反応していいか分からなかったから。

しばらく唇は触れていた。

その間、身動き一つできなかった。

やがて義弟はゆっくりとわたしから離れて、部屋を出て行った。

「なっんでっ…!」

義弟が出て行った後、わたしはベッドの上で蹲った。

わたしは彼のことを、本当の弟だと思って可愛がってきた。

でも彼はっ…!

そこまで考えて、わたしは続きを考えるのを止めた。

最後を…結果を考えるのはイヤだったからだ。

その後、わたしは何事も無かったかのように振る舞った。

義弟がキスした時、わたしは眠っていたのだ。

決して起きていたことを悟られないよう、わたしは義弟にいつも通りに接していた。

だけど予定外のことが、わたしが高校一年の時に起こった。

両親が仕事で、海外に行くことになったのだ。

でもわたしは高校入学がすでに済んでいて、海外に行く気は無かった。

なので仕方なく日本に残ったのだけど…義弟もまた、日本に残った。

両親に付いて行くと思っていたのに…。



アレから二年。

義弟もいつも通りに接してきた。

だけどだんだん、その、執着が強くなってきた気がする。

ちょっとでも帰りが遅くなると、怒られるようになった。

それに家の中で電話をしてて、長くなるとまた怒られるし…。

周囲の人達からは、「シスコンだね」と苦笑される。

もうそういう次元を飛び越えていることは、わたし1人しか知らない事実。

誰にも打ち明けられない苦しさはあったけれど、義弟はあれから何もしてはこなかったことに、安堵していた。

けれど義弟の担任から連絡を受けたことから、その状況は一変した。

「えっ? 県外の高校…ですか?」

家の方の電話にかかってきた。

まだ義弟は学校から帰って来ない。

たまたまわたしが早く帰れたので、受けられた電話だった。

でも多分、担任はそれを見通して連絡をしてきたんだろう。

義弟が受ければ、すぐに切られる内容だったから…。

義弟は優秀な生徒だ。

だから県外の寮のある有名な高校から、声がかかっているらしい。

けれど義弟はわたしを1人にさせられないと言って、断ったそうだ。

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