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Kissシリーズ

第29章 義弟とのキス

そんな話し、全然聞いていなかった…。

多分、連絡が届く前に、義弟が潰していたんだろうな。

担任はそれでも勿体無いと言って、義姉であるわたしに連絡をしてきたのだ。

高校側も、かなり良い条件を出しているらしい。

特待生として、授業料や寮費は免除。

制服代や教科書などの学校用品も、向こうで持ってくれるらしい。

それほどまで、義弟を欲しているのだ。

「…分かりました。義弟と話をしてみます」

そう言うと、担任は安心して電話を切った。

リビングのソファーに座り、深くため息を吐く。

わたしの説得も、どこまで聞いてもらえるものか…。

あの後すぐ、両親に電話した。

どうやら義母には話が通っていたらしいが、やっぱり嫌がっていたらしい。

家の近くにある高校に通うと頑張っている。

そこの高校は言うまでもなく、わたしの学校だ。

別にレベルが低いワケじゃない。そこそこだ。

でも義弟からしてみれば、受験勉強せずとも合格できる学校だろう。

どうしたのもか…。

「ただいま。姉貴、今日は早かったんだな」

スーパーの袋を持ちながら、義弟は帰って来た。

「すぐにご飯にするから、待ってて」

家事はほとんど義弟がやってくれる。

それはとてもありがいたいんだけど。

「…その前に話があるから、ちょっと座ってくれる?」

「何? いきなり」

不思議な顔をしながらも、わたしの向かいに座った。

こうやって改めて見ると、義姉の欲目を抜いてもキレイなコだと思う。

老若男女問わず、モテるらしいし。

頭も良いし、運動神経だって良い。

家事が不得意で、勉強も運動神経も普通のわたしなんか、何で好きになったんだろう?

…いや、今はそんなことを考えている場合じゃなかった。

「県外の高校への進学を勧められているんでしょう?」

「なっんで、そのことを…」

「連絡をもらったの。担任の先生から。そして義母さんにも話を聞いた。良い話だと思うけど…やっぱりイヤなの?」

「イヤだね。オレは姉貴と同じ高校に通うんだ」

そう思いつめた顔で言われると、やっぱり…と思う。

「ただでさえ一年しか同じ学校に通えないんだ。勿体無いだろう? 時間が」

ここまでハッキリ言われると、清々しいを通り越して、あきれてしまう。

「わたしが、それを望んでも?」

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