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Kissシリーズ

第30章 先生とのキス

「はあ…」

最近、ため息が多くなった。

小学4年生の女の子がため息ばかりというのは、さすがにダメだろうと自分でも思う。

けれど悩みもまた、恋愛絡みというのは子供らしくないだろうな。

…そう、恋愛。

わたしはまだ10歳だけど、好きな人がいた。

それはよりにもよって、先生。

小学1年生の時、クラスの担任をしていた先生を好きになってしまったのだ。

けれど2年に上がって、担任が変わってしまった。

それがたまらなく寂しくて、わたしはつい…先生に告白してしまったのだ。

「先生! わたし、先生のこと好きなんです! だから付き合ってください!」

その時のわたしの顔は、きっとリンゴよりも真っ赤だったろう。

授業が終わった放課後、先生が手入れをしている学校の温室で、2人っきりのチャンスを使ったのだ。

先生は息を切らしているわたしを見て、微笑んだ後、頭を優しく撫でてくれた。

「お前が結婚できる歳になるまで、オレのことを好きでいてくれるのなら、な」

「ほっ本当ですか? 絶対ですよ? 待っててください!」

「ああ」

…と、当時のわたしは喜んだ。

けれど今になり、思う。

『結婚できる歳』と言っても多分、先生からしてみればわたしが高校を卒業した後のことを言っていたんだろう。

つまり10年以上先生を好きでいれば、『付き合うのを考える』という意味だったのではないのか―と。

…結果的には、わたしが高校を卒業するまでは告白の返事はお預けということで…。

わたしは未だに片思い。

別にそれは良い。

10年でも20年以上でも、わたしは先生のことを好きでい続ける自信があるから。

でも問題は先生の方。

先生はわたしが小学1年の時、すでに24歳だった。

3年の月日が経って、27歳。

…俗に言う、結婚適齢期ではないだろうか?

先生には今、恋人はいないみたいだ。

でも…好きな女性はいるかもしれない。

告白後、わたしは先生と少しでも一緒にいる時間を増やしたくて、先生が顧問をしている園芸部に入った。

ウチの小学校は部活があって良かった。

委員会だと他のコとの争いになるかもしれなかったから。

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