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Kissシリーズ

第34章 潔癖なキス

「何でキミに触って、僕は平気なんだろう?」

…それをわたしに言われても…答えようがない。

「あっあの、受け止めてくれて本当にありがとう。その…そろそろ開放してほしいんだけど」

未だわたしの体は彼の腕の中。

だけど彼は逆に、わたしをぎゅぅっと抱き締めてきた。

「きゃああっ!」

「少し黙って」

「はっはい…」

言われた通りに黙っていると、彼の手がわたしの体に触れる。

首筋や頬に、彼の唇の感触が触れるたびに、声を上げそうになるのを歯を食いしばって耐えた。

「…やっぱり大丈夫みたいだ。何でだろう?」

彼の両手が、わたしの頬を包み込む。

そして自然な流れで―わたしにキスをする。

「うん、キスも平気みたいだ」

…と言われても、わたしは石像のように固まってしまっていた。

「匂いも感触も悪くない。よし、キミ。明日から…いや、今日から僕の傍にいなよ」

「へっ…? ええっ!?」

その時の声は、校舎中に響き渡ったと言う…。

そして彼は本当に、傍にいるようにしてきた。

と言うより、わたしに近付いて、抱き着いてくる。

それを周囲の生徒達が見て、驚きと悲鳴の絶叫を上げていた。

…主に女子生徒達が。

わたしはと言えば、彼に振り回されっぱなし。

イヤがっても彼の拘束力は強く、またそれ以上に女子生徒たちの視線が強かった…。

別のクラスなのに、休み時間になるとくっついてくる。

人がいない場所に移動すれば、キスをしてくる。

それを繰り返す日々を送っているうちに、だんだんと慣れてきてしまった自分が怖い。

「キミってさ、キス、ヘタだよね」

…しかし彼は正直者だった。

「何度キスしても、慣れないし」

そう言って人のいない階段の踊り場で、またもキスしてくる。

「んっ…ふぅっ」

「まあそういう慣れない顔見るの、結構好きだから良いけどね」

にやっと笑い、弾むように唇を合わせてくる。

「はっ…! だっだったら、他のもっと可愛いコとか、キレイなコにすれば良いんじゃないの?」

「キミだって可愛いよ?」

うっ!

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