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Kissシリーズ

第34章 潔癖なキス

美形に真正面から言われると、ウソでも信じてしまいそうになる。

「特にキスしている時の顔が好き」

そう言っては何度も何度もキスをする。

「…最初、何でキミに触っても平気なのか。分からなくて近付いたんだ」

「答えは出たの?」

「うん。落ちてくるキミを見て、一目惚れしたんだね」

…落下したのが、一目惚れの原因?

何か素直に喜べない!

「あんなにドキドキしたの、始めてだったし。キスする時も、ドキドキする」

「そういうわりには慣れていそうだけど…」

「キミがいつまでも慣れないだけだって。…まあその方が、楽しめて良いけど」

「性格悪いね」

「うん。だからキミを他に取られてら、狂ってしまうかも」

…彼なら有りうる。まず、わたし自身が被害者になるだろう。

「だからキミも僕以外を見ないで、触れないで」

「もう…そういうつもりだから、安心して」

毎日のようにくっつかれ、キスをされ続けたら、わたしまで彼に夢中になってしまった。

あんなに近寄らないようにしていたのに…。

近寄れば、ファンのコ達と同じように、夢中になってしまうことが分かっていたから。

「うん、それなら良い。ウソついたら…分かるよね?」

彼の目に、危険な光が宿る。

「うっうん」

「いっつも引っ付いているんだから、キミに何かあったらすぐ気付くから」

「だから無いって! こっこれだけくっつかれたら、近付く人なんていないから!」

すでに全校生徒&先生達の間では、話が広まっている。

「そりゃあ良かった。周囲に見せつけてたかいがあった」

ううっ…! やっぱり性格が悪い。

「ねぇ、たまにはキミからキスしてよ?」

「うっ…」

けれど潔癖症の彼が、わたしにだけ触れてくれるのなら…。

わたしは背伸びをして、彼にキスをした。

思いと誓いを込めた、キスを―。

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