
にゃんこは虎の夢を見る
第1章 カッコいいには程遠い?
「人にぶつかっといて、それはないだろう?」
「うっせーな!謝っただろ?!」
「あんなの、謝ったに入らない」
「んだとぉ?」
何だろう
チビ猫が一生懸命毛を逆立ててシャーシャー言ってるようにしか見えない
要はちっとも怖くないし、何なら微笑ましくもあるけど
それの向かう相手は俺じゃなくて、知らない奴ってのが面白くないし、薄ら笑いを浮かべるそいつが何かムカつく
にのを助けるべく、方向転換
ここに来た時と同じように、にこやかに人並みを掻き分けて
「にの」
未だシャーシャー言うにのの横に回って、グイッと自分の方に引き寄せた
「何やってんの」
まあ、見てたから分かってはいるけど
「こいつが、謝ってやってんのにウダウダうるせぇんだよ!」
「だから、あれは謝ったとは言えないと言ってるだけだ」
にのとは正反対に、冷静に答える男は呆れたように腕を組んでいる
…わざとらしいため息付きで
あ、何か俺もこいつ苦手なタイプかも知れない
