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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第24章  チューベローズ

  


「誰だっ!!」


 カランカランと乾いた音を立ててペンが床に転がった。どうやら書類を眺めているうちにうたた寝をしてしまったようだ。


「夢、か・・・・・・」


『王さま。』


「レオノール・・・?どうした、執務室にくるなんて・・・珍しい。」


 呼ばれたのが夢かと思ったが王妃が扉の近くに立っていた。


「そんな所に立っていないでこっちへ来い。」


 立ち尽くしている妻を手元に呼んだ。


『王さま・・・・・・』


「なんだ、改まって。執務室だから名で呼んでくれないのか?」


『王さま。私の、王さま・・・・・・お望みのモノを差し上げましょう。』


「〝望みのモノ〟って、なんだソレ。俺の望むのは、国の平安と民の健やかな日々とお前との穏やかな日々だ。他に〝なにを〟欲すればいいんだ?」


  

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