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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第26章   ヒナギクの禁忌

  


 家がしっかりしていてくれなくては、〝イイ所〟へ進学出来ない。進学出来なければ下層で働くしかなくなる。下層でしか生きられないなら生涯添い遂げる相手ももちろん期待できない。そうなれば子を成しても苦労するのは、自分だ。
 周りからも蔑まれて・・・そんな毎日を送りたくなどない。


「ん・・・・・・」


「よう、珍しくぐっすりだったな。」


 目が覚めて耳に入った声の方を見る。半裸の男がタバコを吹かしている。


「この部屋は、禁煙よ。」


「堅いこと言うなよ。俺も結構いい働きしてんだろう。」


「それとこれとは、別よ。仕事は、どうしたの?」


「今日は、夜だ。みんなピリピリしってからなぁ~訓練にも行きたくねぇんだよ。」


「まぁ、大変ね。」


「〝大変ね〟って、お前の所為でもあるんだぞ~」


「知らないわ。」


  

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