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　執事がやって来ても女の暴走が止まらない。


「身分が低くても･･･自分のことくらい、わきまえています。気持ちまでは、卑しいつもりはありません。」


「だったら、判るわね？」


「私にどうしろと？パスポートさえ所持品さえない私に〝どうしろ〟と？」


「私たちが用意するから、祖国へ帰りなさい。」


「私には、決められません。」


「このっ･･････！！？」


「母上。婚約者殿にそれ以上、手を上げないで頂けますか？」


「ジュリアスさんっ！！」


　再び振り上げられた手が押さえられている。そこには、彼が居た。


「用事を思い出して帰ってみればなんですか、この騒ぎは。」


「す、すみません･･･」


　就業時間なので彼が敬語だった。


「母上、運転手が待っていますから今日は･･･お帰りを。」


「また、来ますからね！！」