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やさしく愛して

第1章 やさしく愛して

 わたしは、恒さんの肩に頭をあずけて、寄せては返す波を見続けていた。
 恒さんが、
 「霧子さん、
  海を見に行こう」
 と言って、つれて来てくれたのだ。
 恒さんの家で、朝食をすまし、10時すぎに出発した。
 すこし早いかなと思ったが、わたしに海を見せたいから、夕方にならないうちに、志摩半島に着きたいと言った。
 ずっと静かな波を見ていると、胸の中にある小さなしこりのようなものが、溶けていく。

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