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家庭教師ヒットマン リボーン!小説・バレンタインは大騒動!?

第2章 大騒動の前日

クラスの女子に、思いつめた表情で話があるからと言われ、屋上に呼び出された。

そこには、屋上を埋め尽くすほどの大勢の女子生徒がいた。

「ええっ!」

呼び出される覚えも無いので、思わず後退りすると、女の子達は一斉に頭を下げてきた。

「沢田くん! お願い、明日は獄寺くんと山本くんから離れて!」

「………はい?」

言われたことが理解できず、首を傾げた。

すると女の子達は顔を上げ、必死な表情で詰め寄ってきた。

「明日、バレンタインでしょう?」

「どうしても彼にチョコあげたいの!」

「でもいつも沢田くんと一緒でしょ?」

「ちょっと渡しづらくて…」

「だからっ! 明日一日だけで良いの! 二人から離れてて!」

…つまり、明日チョコを渡すのに自分が邪魔なので、一緒にいないでほしい―と言うことか。

「あ~、…うん。分かったよ」

女の子達の気持ちも分からないでもない。

三人で一緒にいることが自然体になっているので、そういう状態では女の子達はチョコを渡しにくいだろう。

…それにそういう場面にいることは、正直こっちも辛い。

そんな心境をよそに、女の子達の表情が明るく輝いた。

「あっありがとう! 沢田くん」

「お礼に友チョコあげるね!」

「人気のチョコ、買ってあるから」

「あっありがとう」

親しい友人にあげる友チョコ。

あっさり言われると、返ってすがすがしい。

それに一応、男として面目がたつ。

呼び出した女子の一人がバレンタインに日直だった為、代わることで彼らから逃げる口実にした。

逃げる、という言葉に罪悪感を感じるも、あんな大勢の女子を敵に回すことを考えれば、命の危機をさけられた安心感もある。

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