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家庭教師ヒットマン リボーン!小説・バレンタインは大騒動!?

第3章 そしてバレンタイン当日

「ところでそろそろ校舎に入った方が良いんじゃないの? 今日はあの二人から逃げなくちゃいけないんだろう?」

「うえっ! どっどこからその情報をっ」

「昨日の放課後、屋上で女子生徒達と群れていただろう?」

「あっああ…」

ヒバリはどんな理由であろうとも、群れることを嫌う。

あれだけの人の数が屋上に集まれば、何事かと風紀委員が目を付けてもおかしくない。

「本当は咬み殺そうかとも思ったんだけどね。キミが渦中にいることを知って、止めといたんだ。まあ内容は検討ついたしね」

「すっすみません…」

変なところで気を使わせてしまったんだと、少し申し訳なくなる。

「今日一日ぐらいはね。風紀委員も無粋じゃないし」

「あっありがとうございます」

今日一日、鬼ごっこをする立場としては、ありがたい言葉だ。

逃げている最中に、彼に捕まってはシャレにならない。

「ところでキミは誰かに貰った?」

「ぐっ! …まあ友達や家族からは貰う予定です」

本命は無しとしても、貰えるだけありがたいと思っている。

「ふぅん…」

じっと見られることに居心地の悪さを感じて、カバンを抱え直した。

「そっそれじゃあオレ、そろそろ職員室に行かなきゃいけないんで」

「うん。じゃあね」

もう一度頭を下げて、校舎に向かって走り出した。

途中、登校中の生徒達が物珍しげに自分のことを見ていることに気付いた。

人が多い時間に彼と一対一で話せば嫌でも目立つことを忘れていた。

最近では普通に挨拶や会話ができるようになっただけに、彼の存在の大きさと重さを忘れがちになりそうになっている。

今日一日だけでも、できるだけ目立たないようにしようと、改めて心に決めた。

教室に入ると、まだ人気は少なかった。

けれどカバンを置くとすぐに職員室に向かった。

できるだけ二人に会わないように、と。

そして鐘が鳴るギリギリ前に、教室に戻った。

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