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家庭教師ヒットマン リボーン!小説・バレンタインは大騒動!?

第4章 晴の守護者

―その後、休み時間ごとに話しかけてくる二人に、

「日直の用事があるから」

と逃げまくり、ついに昼休みに入った。

「ツナ、お昼外で食べないか?」

「屋上に行きませんか? オレ、あったかい飲みモン買ってきますよ」

「ごっゴメン! ちょっと用事頼まれてて、一人で食べるから!」

気を使わせていることをヒシヒシと感じるも、周囲の女子からはビシビシ殺気を感じている。

なので弁当箱を持って、二人に手を合わせて頭を下げた。

「あっ明日は一緒に食べよう! ホント、ゴメンね!」

「あっ、ツナ!」

「十代目!」

追いかけようとする二人だが、すぐに女子達に囲まれ、身動きできなくなる。

二人に心の中で何度も詫びながら、いつもより人気の多い廊下を駆ける。

今朝ヒバリが言った通り、風紀委員達は廊下を走っても咎めてこない。

それどころが男子生徒達がどこか憐れみの視線を向けてくる。

誰も何も言わずとも、何となく自分の行動の意味を察してくれているようだ。

何気にフォローされているのも、少し悲しい。

そんな思いを抱きながら靴を履き替え、外に出た。

校舎裏に回り、クラブハウスが立ち並ぶ裏門の方まで走った。

例え側にいなくても、二人の近くにいることは今日一日許されない。

なので人気のない所を選んだのだが…。

「どっどこでお昼食べよう…」

今日限りは、どこへ行っても誰かいそうだ。

途方にくれながら歩いていると、とあるクラブハウスの扉が開いて、見知った人物が出てきた。

「あれ? お兄さん」

「沢田か? どうした? こんな所で。一人か?」

「ええ。お兄さんはトレーニングですか?」

笹川了平は制服ではなく、ジャージを着ていた。

「ああ、早弁したしな。沢田はまだなんだろう?」

「はっはい。実は…」

昨日の放課後から今までのことを簡潔に話すと、了平は苦笑した。

「そうか。大変だな」

「ええ、本当に…」

実感を込めて言うと、思わず脱力してしまう。

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