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君を乗せた空

第1章 SIDE‐RUKA

描きかけの水彩画を、彼はその大きな眼で、じっと、舐めるように眺める。

「油絵は、描かないの?」
「私の趣味では無いんです。」
「成る程。」

そう言うと、彼は急に、私の制服のスカーフに、手を伸ばした。

「溝口は、確かに透明な感触の持ち主そうだもんな。」

そのまま、しゅるり、と赤いスカーフが抜かれる。

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